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2007年01月23日

わたしを離さないで カズオ・イシグロ

昨夜手にとって、夢中になって一息で読了。
夜中だったのにしみじみ今の幸せを思って泣けてきた。

読後、この本の出来事や登場人物のことよりも、
自分の目の前にいる人の大切さ、自分の1日1日について
なんともいえず考えてしまう。

わたしを離さないで
わたしを離さないで

*
主人公キャシーが物心ついた頃から現在(31歳)までの
育った施設や仲間達とのエピソードが回想でつづられる。

彼女達は臓器提供のために作られた子供たち。
大きくなると「提供」後の人々を介護する役目につく。
その後、「提供」の知らせがくると、それに従う。

彼らはそのときがくると「提供」して命を終える人生。
「提供」は「使命」が終わるまで繰り返される。

映画になるような脱出劇もなく、彼らは淡々となんとなく
そうなることを前提として生きていくけれども、
友人と助け合い、傷つけあい、恋愛もあって、
『人間的』に日々を生活している。当たり前だけど。

その様子がかえって、読み手にずしーんと考えさせる。

*
私はこの作品に自分の内面を試されたような気がする。

主人公達はクローン人間。
生殖機能を省かれてるだけで、普通の人間と変わりはない。
でも読みながら彼らを「人間」としてではなく
「いつか利用されて死ぬための人間(に近い何か)」と
なんとなく分類してしまってる自分がいて愕然と。

クローン人間と人間の差はなんであるのか、
差があったとして臓器提供のために生産されて死んでいいのか。
彼らのように人工的に生産されたら人間じゃないのか?
生殖できなかったら人間じゃないのか?
人間ってなんなんだろう??とすごく考えました。

それと同時に、あらゆることを勝手に分類し、選別し、
枠の中で決定するということを、わたしたちは
日常であらゆるものに対し行っていて、
そしてそれが時に、驚くほど残酷なことを平気でしているのではないか
そう思ってすごくこわくなった。

それから、どんな人生でも、友人を愛して、
ささやかな最善を尽くして生きる主人公が大好きだ。
この本は素晴らしかった。
テーマはクローン人間の是非だけではなく、もっと深い。

投稿者 noritama : 2007年01月23日 12:02

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